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<シルクのおはなし>
ちょっと絹のお勉強を してみませんか?
| 2.製造方法による分類 (1)繭から生糸ができるまで 農家で生産された繭は、その中で生きているさなぎが、蛾になって繭穀を破って出てくると、一筋の繭糸が切断され、長繊維の生糸原料にならないため、商品価値が著しく低下する。 このため蛹が蛾になって出てくる前に、殺蛹し、品質の保全と長期の保管に耐えるように、製糸工場で熱風などで乾燥させ倉庫に保管する。 繭から生糸をつくるには、繭糸を膠(にかわ)のように固着させているセリシンを、蒸気や熱水あるいは化学薬剤で膨潤軟化させ、繭糸をほぐれやすくする。これを「煮繭(しゃけん)」という。 ほぐれやすくなった繭糸を何本か引き揃えて繰りとって、生糸をつくる。繭糸は1本約3デニールなので、21デニールは、繭7粒、30デニールは繭10粒の糸を引き揃える。一般に生糸の繊度(デニール)は、「21中」、「27中」、「42中」と表わすが、この「中」とは、目的とした繊度という意味である。 生糸をつくる工程は、下図のとおりである。この過程で目的生産物である生糸のほかに不良繭、糸屑など生糸にならない絹物質が産出される。これらは「副蚕糸」と総称され、絹の紡績原料や真綿の原料となる。 <生糸> 家蚕繭から繰り取られた長繊維糸(フィラメント)である。有名な絹織物の大部分は、この生糸を原料とする。 <玉糸> 家蚕は通常1頭で1個の繭をつくるが、中には2頭以上で1個の大きな繭をつくることもある。これを「玉繭」あるいは「同功繭」というが、2頭分の繭糸がもつれているため、通常の繭のようにスムーズに糸が引けず、繰りとられた糸は節の多い、太めの長繊維となり、玉糸と呼ばれ、節絹(ふしぎぬ)ともいう。シャンタン織、リンシャン織などの原料となる。 <絹紡糸> 繰りとって生糸にすることのできない絹糸類には、養蚕や製糸工程から出る繭毛羽、屑繭、よごれ繭、蚕種をつくる際の蛾が出たあとの出殻繭、切り繭、製糸から出る緒糸、蛹はだ、揚り繭、その他検査の際の糸屑等があるが、これらを原料にして、綿状の短繊維がつくられ、繊維の比較的長い絹をペニー、短いものをブーレットと呼ぶ。ペニーなど比較的上質の絹綿を紡いだものが絹紡糸で、スパンシルクともいう。この製品では、柔らかな光沢と膨らみのある富士絹が有名である。 <絹紡紬糸(けんぼうちゅうし)> 絹紡糸とほぼ同じものだが、絹紡糸をつくる紡績工程中にできる屑繊維(ブーレット)や品質の悪い繭毛羽など繊維の長さが4センチ未満のような短いものを紡績したもので、節の多いノイル織物の原料となる。 <紬糸(つむぎ)> 玉繭、穴あき、出殻繭など繰糸に適さない繭を薬品や木灰により煮たてて綿状に引きのばしたものを真綿といい、防寒用衣料や布団綿に用いられる。この真綿を原料として手でつむいだのが紬糸で、その強さには定評がある。この製品では結城つむぎがある。 以上が絹糸の主なものであるが、これらを加工したものには、糸によりをかけた「絹撚糸」大島つむぎ等各地に風土色豊かな織物があるほか「絹縫糸(きぬぬいいと)」「絹手編糸」「絹ししゅう糸」等がある。 |
第2章 絹の素材特性 1.光沢 絹の光沢はよく真珠にたとえられる。真珠は、核の周囲に極めて薄いタンパク質の層が、長い時間をかけて累積されてできあがり、これに光があたると、波長によって表面で反射するもの、内部まで透過してから各層で反射するものとが干渉して、気品のある光沢を生み出す。絹の光沢も、蚕が繊維を作り出す過程でできるフィブロインタンパクの層状構造や複雑な微細構造(フィブリル構造)が生み出している。また、絹繊維(フィブロイン)の大小様ざまな三角断面によるプリズム効果が絹の光沢を一層美しいものとしている。 2.色彩 絹の美しさは、染め上りの美しさにある。絹繊維は、いろいろな染料に容易に美しく染まり、繊細な図柄を鮮やかに染め分けることができる。 それは、絹繊維がタンパク質繊維であり、結晶性部分と、染料の入りやすい非結晶性部分とがほどよく混り合い、そこに染料に染まり易いいろいろな活性基が分布し、たくさんの染着座位があるためである。また、繊維が低屈折率のため、繊維内部からの反射光が表面を透過して鮮明度の高い発色となる。 3.風合い 通常、織物に使われる風合いの表現は、ぬめり(弾力のあるなめらかさ) しゃり(シャリシャリした硬い感じ)こし(反撥力、弾性のある充実感) はり(張る感じ、曲げ剛さが強く関係)ふくらみ(あたたか味のある厚み感)などの主観的評価である。 絹織物の風合は、先練織物(さきねりおりもの)と後練織物(あとねりおりもの)では、繊維組織が異なるので、地合いは全く異なってくる。 また、同じ平織でも撚りを施さない生糸を使った羽二重(はぶたえ)と、強い撚糸を使った縮緬(ちりめん)やクレープとは別の感触が得られるように、絹織物の風合いは非常に多様である。 (1)柔らかくて腰がある また、絹繊維は極めて弾力のある繊維(ヤング率が高い)で、小さな変形に対して大きな抵抗を示すため、柔らかさの中に腰、張りのある織物をつくりだしている。絹のきものが着崩れしないこと、ネクタイや帯の締め具合いが良いことなどはこれらの特性による。 絹織物は、天然の絹繊維の集合であり、単調な化学繊維の織物ではできない気室が沢山あり、含気量が大きいので熱を伝えにくい。これに絹織物の柔らかさが体へのなじみやすさもあって、軽やかで、薄くても暖かな製品をつくり出している。 それは織物を構成する繊維の吸湿性の差異によるもので、吸湿性の大きい天然繊維は前者である。 人体からは1日1.5〜2・の水分が発散されている。衣服には、この水分を吸収して外気に放出する機能、すなわち透湿性(通気性)が、着用時の快適さと保健衛生上必要であり、通気性のよい布の構造と吸湿性のよい繊維が望ましく、織物でも、吸湿性と透湿性を高めることが必要である。 天然繊維の中でも、絹は綿の1.3〜1.5倍の吸水性があり、放湿性も綿に遜色ない特徴をもっている。要するに、絹は吸湿性が優れていて放湿速度が大きく、衣服内に余分な湿気が残留しないため着心地が良い。 また、吸温性の大きい素材の衣服は、身体に対する外界の温湿度変化の影響を緩和する作用も兼ねている。 5.吸水性 汗を吸い込んだ布地は、通気性を悪くし、さらに、水が充満すると熱伝導度が高まり保温性を失ってしまう。吸湿性の大きい天然繊維は、繊維の間の水分を吸収発散して、含気量を維持する働きをもち、布の吸水性も優れている。 6.帯電性 繊維を摩擦すると静電気が発生し、繊維の電気抵抗が大きいと蓄積されて帯電する。繊維の水分が多くなると電気抵抗が小さくなり帯電しにくくなる。したがって、著しく乾燥すると絹も羊毛も帯電は避けられないが、吸湿性の大きい絹製品は合成繊維製品のような帯電は起きにくい。
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| 3.絹の編物 (1)編地の基礎 編地は糸でループをつくりながら、たて、よこに連結させて編んだ生地で、メリヤス、又はニットともいう。 編むときに、図1のようにループをよこ方向につくりながら編むものと、図2のようにたて方向にループをつくりながら編むものがあり、前者をよこメリヤス、後者をたてメリヤスという。 編地は、このように糸がループ状に連結して布を形づくっているもので、伸縮性と多孔性に富み、また柔らかいため、その用途は肌着(インナー)から外衣(アウター)まで広範囲にわたっている。 編機には同じ形式のものでも編む糸の太さ(番手)によって、編針の太さ、間隔が異なる。これを表わす単位としてゲージ(G)が用いられている。通常は1インチ(2.54・)間の針の本数で表わしている。 (3)編地組織 (4)用語の説明 よこ編は図1のように通常1本の糸で編目を1つずつよこの方向につくりながら1段ずつ編んでいくのに対して、たて編は、織物を織るときと同じように多数のたて糸を配列し、 これをループで連結させながら横1段の編目を一度につくりながら編んでいく方法である。従って、たて編では図2のようにループをつくる糸はたて方向につながっており、よこ編はよこ方向に糸がつながっている。 たて編には、編む機械によってトリコット、ラッシェル、ミラニーズがある。トリコット地は、女性の下着など薄くて細かい編目のものに用いられることが多い。ラッシェル地は、比較的厚地で複雑な変化に富んだ編地で、外衣やカーテン地に多く用いられる。ミラニーズ地は編機の構造から、菱形の柄模様のものが多い。 ・よこ編メリヤスと丸編メリヤス 両者ともよこ編組織で、編目構造のうえからは違いはなく、よこ編機で編んだものをよこ編メリヤス、丸編機で編んだものを丸編メリヤスと呼んでいる。 よこ編メリヤスは、平面状に生地が編まれ、編みながら編目を増減することによって製品の形をつくることができ、セーター、カーディガンなど比較的太い糸でゲージのあらいものが多い。 丸編メリヤスは、円筒状に生地が編まれ、裁断、縫製して二次製品とするものである。 ・表目と裏目 編目はすでにつくられているループの中を新しく編目をつくるループが引き抜かれてできるが、図3のようにループが引き抜かれた面を表目、これを図4のように裏面から見た状態を裏目という。 図1のように生地の一方の面が表目のみ(その裏面は裏目のみ)の生地を平編(別名天竺)という。 編目のたての列が交互に表目と裏目で編まれている生地を、ゴム編(別名フライス編、図5)という。これに対して、編目のよこの列(これをコースという)が交互に表目と裏目で編まれている生地をパール編(別名ガータ編、図*6)という。 ・メリヤスとニット 編地のことをメリヤス、またはニットという。 ・カットアンドソーン(カットソー) ニット生地を裁断して縫製した製品をカットアンドソーン(カットソー)という。織物の場合は使われず、ニットだけに使われる言葉である。ニットには1着分ずつ編み立てる成形編(フル・ファッショニング、ファッショニング)があり、これと区別するために用いられる |
7.防しわ性 布地にしわができにくい性質やしわができても残らない性質を防しわ性という。 一般に繊維の伸長弾性が大きい羊毛、ナイロン、ポリエステルなどの織物は防しわ性が良く、これの小さい綿、絹などの織物は防しわ性が小さい。 一般に絹織物がしわになりやすいのは、絹繊維の伸長弾性によるばかりでなく、薄地物が多いこと、織物がち密に織られていることなどが原因している場合が多いが、ちりめん、クレープ類のように、強撚糸によって、防しわ性を高めた絹織物もある。 8.耐摩耗性 絹製品は、袖口やひだなど、折目の部分が摩耗しやすく、屈曲されて歪んだ状態での摩擦に弱い。織物組織では平織は丈夫であるが、朱子織は弱いので使い方に注意を要する。また、羊毛と絹の混紡織物では、羊毛繊維はスケールをもっているので抜けにくく、絹繊維だけが抜け落ちるために耐摩耗性を落している場合もある。なお、摩擦によりスレ、毛羽立ちなどが起こる。 (1)スレ (2)ラウジネス 9.黄変、脆化 中性洗剤を使う、水洗いを十分に行う、直射日光や紫外線を避ける、アイロン掛けは低温で行う、低湿度の場所に保管するなど取扱い上の注意によってある程度黄変を緩和することができる。なお最近、紫外線吸収剤を用いた加工方法が開発され、黄変防止に有効であることが報告されている。この効果はドライクリーニングでは殆んど変化しないが、水洗いでは効果が失なわれる。 10.引っ張り強さ 11.難燃性 |
| 第4章 絹の改質 1.特殊生糸 生糸は天然繊維の中で唯一の長繊維であり、他の天然繊維にない数々の特長を有するが、さらに製糸段階において改良を加え従来の生糸にない特徴を持った生糸が生産されている。 (1)あけぼの生糸 (2)ソフトシルク(柔軟生糸) (3)ファインシルク(分織絹糸) (1)複合方式 ・複合繰糸生糸(ハイブリッド生糸) 繭糸と他繊維糸とを混合繰糸した生糸をいう。化学繊維の糸を芯にして、これを繭糸で覆うように作ったものが多い。 ・混紡糸、複合紡績糸 異なった種類の短繊維を混合紡績した糸を混紡糸という。 ・交撚糸 異なった種類の糸を撚り合せた糸である。 ・混紡織物、混紡編物 混紡糸を使った織物および編物のことである。 ・交織織物、交編編物 異なった種類の糸を組合せて織った織物(編物)または、交撚糸を使って織った織物(編物)のことである。 (2)複合素材の例 絹と他の繊維とを組み合せて、絹の感性と新しい機能をもたせた複合素材をハイブリッドシルクという。 シルランは、エァジェットノズルを用いた繰糸機を使って、細織度繭品種「あけぼの」による2デニールの細い繭糸を、ナイロンにからませて繰糸した複合生糸である。 絹の肌ざわりとナイロンの強さや伸縮性をもった複合生糸で今のところ婦人用パンティストッキングに使われている。 ・ピユラシー アクリルフィラメント糸を芯にして、その周囲に繭糸を引き揃えた複合繰糸生糸である。 ピューロンは繊維が細く、絹の光沢、触感を損なわず、染色が容易で、膨みをもった織物ができる。厚みのあるサテン(ピュラシーバルキーサテン)、シルキータッチの靴下、ニット製品などが作られている。最近は機械洗濯(水洗い)ができる製品もできている。 ・絹混紡糸 羊毛、綿等に絹紡糸を混ぜたもの。絹混率は10〜30%、20〜30番手で、光沢の良さ、ドレープ性などをねらったもので、ブラウス、ジャージー、カーディガンなどに使われる。 ・ネットロウシルク、スパンロウシルク ロウシルク(raw silk)とは生糸のことである。繰糸工程で繭糸を型枠に巻取りながら網状に配列して引延ばしたものがネットロウシルクであり、スパンロウシルクは網状の繭糸の一部を切断し短繊維化しつつ引延ばしたものである。生糸にはない嵩高性(かさだかせい)、伸縮性が得られるほか、スパンロウシルクでは繊維長を変えることができ、アイテムに合わせた生地作りができる。また、芯糸に他繊維を入れることにより、新たな特徴を付与できる。これらはニット、アウター等への利用のほか、大島紬、帯地等和装への利用もみられる。
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第3章 絹の製織、染色と製編 1.絹の織物 (1)絹織物の要素 絹織物の種類は、原糸、撚糸、製造工程、織物組織、目付・寸法、などの組合せによって生まれる。 ・撚糸(より糸)の種類 撚りの方向:S撚り(右撚り)、Z撚り(左撚り)。撚りの強弱:甘撚り(300回/・以下)、並撚り(300〜1000回/・)、強撚(1000回/・以上)。 撚糸構造:片撚糸(数本の糸を引き揃えて一方方向に撚りをかけた糸)、諸撚糸(2本以上の片撚糸をさらに2本以上撚り合せた糸)、駒撚糸(諸撚糸で、それが強撚糸のもの)、飾撚糸(節やリングをつけた糸)、壁撚糸(壁ちりめんなどのよこ糸に使われる撚糸)。 ・織物組織 織物組織とは、経糸と緯糸の組合せ方をいう。平織、斜文織(綾織)、朱子織の3種が、すべての織物組織の基礎となっている。これを三原組織といい、これらを変化させていろいろな組織が作られる。また、これらを組合せて模様を織り出したものが紋織である。 ・織物の製造工程 先練り:織物を織る前に糸を精練する(糸練り)こと。精練した糸(練糸)で織ったものを先練織物という。先練織物は大部分が糸を先に染めてから織られる先染織物である。お召などの無地のほか、数種の色糸を使って大島紬や絣のような織模様が作られる。 後練り:生糸を織物に綴り上げてから精練(布織り)すること。その織物を後練織物という。絹織物の大部分はこれで、一部は胴裏などに白生地のまま使われるが、多くは無地染め、手描き有禅染め、捺染(プリント)などにして使われる。 織物の模様は、織り模様と染め模様に分けられる。織り模様は織物組織や色糸の組み合せによって作られる模様のことで、縞、紋織(りんず、ブロケード、錦など)、絣などがある。 絣は、織糸を部分的に染めて絣糸を作り、これを組合せて模様を織り出した織物である。絣糸の染法によって、括り絣(結城つむぎ)、板締め絣(村山大島)、織締め絣(大島つむぎ)、解し絣(伊勢崎銘仙)などが有名である。 ・織物の目付(重量)、寸法 目付というのは織物の重量の呼称ならびにその単位である。 広幅織物では、1目付=4.3055 ・/・を単位として、○○目付(○○・/・)と表示する。和装用織物では1反の重量(・)で表示するのが普通である。 |
| 3.絹の特殊加工 (1)増量加工 ・タンニン増量 植物タンニンを多量に含んだ液を一定量の水に入れて煮沸して、タンニン煎汁をつくりこの中に生糸を入れ加熱するとセクシン定着とともに増量率20〜30%の生糸となり、さらに重クロム酸カリまたは吐酒石(としゅせき)でタンニンを固着すると50〜60%の増量率の糸が得られる。 ・すず増量 タンニン増量では鮮明な色が得られないが、この加工法では、光沢のある鮮明な色が得られ、また100〜150%と高い増量率が得られる特徴を持っている。 (2)撥水加工 (3)グラフト加工 (4)ソワドメール加工 洗たく堅ろう度が向上し、水洗いや、ドライクリーニングのいずれの場合も色落ちや変退色しなくなる。主としてブラウス、スカーフ、婦人服地に加工される。 (5)スコッチガード加工、パールトン加工等 繊維類はほこり、土、砂などの乾性の汚れ、液体飲料水、インクなどの水性の汚れ、油脂類などにより汚れる。これらの汚れは注意しても避けられない場合もあるので、絹が高級品としてのイメージを低下させないためにも防汚加工が必要である。 (6)ストーンウオッシユ加工 (7)ピーチスキン加工 |
2.絹の染色 (1)先染織物(先練織物) たて糸、よこ糸を織物の設計に応じていろいろな色に染色することができるので、縞、格子縞、絣、紬などの織物を織ることができる。黄八丈、大島紬、結城紬などは代表的な先染め織物である。 (2)後染織物(後練織物) (3)無地染め (4)捺染 きものの捺染は友禅染め(型友禅)と小紋染めが主で、模様は違うが染色の手法はいずれも模様をほり抜いた型紙を使用する点で同じであり、これを型紙捺染という。 (5)手描き友禅 (6)堅ろう染色 (8)藍染め すくもまたは藍玉を藍がめの中で建てる(アルカリ性還元剤を加えて藍を溶解することを建てるといい、木灰、木灰+石灰、石灰+亜鉛などを加える方法がある。)。この中に糸または布を浸漬し、染液を吸収させた後、手で絞って空気中にさらし酸化させる。初めは緑色であるが浸漬を繰り返すと次第に青色から紺色になる。適度の色合いになるまで幾度も染色する。 藍の主成分はインジゴであり合成されたインジゴも市販されている。合成インジゴで染色すると1回で濃色が得られる。すくものインジゴ含有量は4〜5%と少ないため濃色染めには十回以上も繰り返し染色が必要であるが、インジゴと同時にすくもに含まれている不純物も繊維に定着するため合成品では得られない色合いとかおりを持った染色物が得られる。そのため現在も各地で天然藍による染色が行われている。日光堅ろう度が特によい。 (9)貝紫 |
| 第5章 絹のアフターケア 1.絹製品の取扱上の注意点 絹は美しさ、着心地等の面で優れた繊維であるが、その反面、耐摩擦性や黄変等問題のある点もあることから、その取扱には十分注意する必要がある。主な注意点を列記すると以下のとおりである。 ・絹は繊細な繊維なので、着用や洗濯の際に無理な力が加わると、形くずれしたり、糸がほつれたりする恐れがある。 ・着用や洗濯の際の摩擦によって、繊維が細かく枝分かれして毛羽立ちを生じやすく、濃色のものでは白っぽくなることがある。 ・染色の弱いものでは、洗濯や汗により色落ちしたり、色がにじむことがある。 ・絹は紫外線を吸収し変質しやすいので、日光や蛍光灯の光に長い間曝されると、黄変したり、生地を傷めやすい。 ・絹はタンパク質繊維なので、湿気によりカビが生えたり、虫害を受けやすい。また、極端なアイロンの高温には気をつけたい。 ・汗やシミが付いたまま長時間放置すると、黄変したり生地が弱くなる恐れがある。 2.日常の取扱い また、汗のシミは放置すると落ちにくくなるので、汗シミがひどいときは固くしぼった布でたたき落すなど応急処置を施して、できるだけ早く(なるべくなら即日に)クリーニングに出すことが望ましい。汗ばむ季節には、汗取りガーゼを当てる等インナーに工夫するとよい。 シミ、汚れの防止措置としてスコッチガード加工等の方法がある。これはクリーニング店に依頼すればよい。(スプレー缶も市販されているので、家庭で処理することもできるが、この場合は注意事項をよく守り、均一にスプレーすることが大切である。また、窓の開放等ガス中毒にも留意する。) なお、シワの問題については、ハンガーにかけることによってかなりのシワは除去できるが、完全に取り去るにはアイロンに頼らざるを得ない。 |
クリーニング店を選ぶポイント11ヵ条 クリーニング店を価格だけで選んでいませんか?安いことは良いことですが、大量、画一的にもつながります。衣服は、素材・デザイン・シルエット・機能性・型の大小、更にシミや汚れの状態が一点一点異なる上、洋服・和服・紳士・婦人・子供・皮革毛皮と種類が多く、流行もめまぐろしく変化し、複雑な条件が多くあります。ポイント11ヵ条のうち六つ以上あれば優秀店です。特に1、2、3がある店は安心です。 1 専門店の薦める店か 2 受付で入念な確認をする店 3 話(注文)を伝票に記入する店か 4 保管・手入れのアドバイスをする店 5 ブラウス一点でも笑顔で迎える店 6 修理もしてくれる店か 7 ファッションの知識のある店か 8 皮革・毛皮の自社処理をしている店か 9 漂白をしてくれる店 10 仕上り日を守る店 11 若い女性が多い店 |
| 4.アイロンがけ 絹製品のアイロンがけの場合は、必ず木綿などの当て布を当て、温度は130℃程度とすることが大切である。スチームアイロンを使用する場合は、蒸気の量を少なめにすることと、アイロンを軽く手早くかけて仕上げることが大切である。スチームアイロンは、水の汚染などによってシミになる場合があるので、アイロンの水の状態をよく調べることが必要である。この失敗を防ぐため、あて布をしたり、洗濯物が半乾きのときに乾熱アイロンを裏から当てたり、裏から霧吹きをするなどの方法もある。 絹の耐熱性については、他繊維に比べて高い方であるが、家庭用アイロンには生地の種類に応じた温度調整装置が付いているので、絹の目盛に合わせて使えば間違いない。 また、アイロンは、出来るだけ織物の経糸、緯糸の方向に沿ってかけるようにする。その際、経糸と緯糸の太さが違う織物では太い糸の方向から始めると美しく仕上がる。 薄地のブラウスなどの場合、アイロンの圧力を強くすると、モアレ(木目状の縞模様)現象が発生することがあるので注意する。また、湿った状態で摩擦を与えると毛羽立ちが生じる恐れがあるので注意する。 なお、雨や水に濡れた後に水ジミのような跡が残ることがあるが、霧を吹いてアイロン仕上げを行うとほとんど目立たなくなる。 5.保管 また、重ね過ぎは生地を傷めるので、洋装品はなるべくハンガーにかけて保管する。たたんで保管する場合には、肩や折った部分などに紙を適当に丸めて入れておくとよい。 よく、クリーニング店等からビニール袋に入れて届けられたものをそのまま保管することが行われやすいが、ビニール袋で密封すると空気の流通が悪くなるため、ムレやカビを生じたり、残存溶剤の気化ガスのため生地を傷める恐れがある。また、クリーニング店から返ってきたハンガーは針金ハンガーであるため、形くずれの原因にもなる。したがって、必ずビニール袋から取りだして、適切なハンガーにかけ換え、風がよく入るような状態にして、収納保管するようにする。 きものの保管に際しては、折り目正しくたたみ、重いものは下、軽いものは上にふわっと入れて、たくさん重ね過ぎないように気を付ける。 防虫剤の使用に当たっては、2種類以上の防虫剤を用いると、相互に干渉して防虫効果を妨げるだけでなく、シミなどの原因にもなるので、1種類の防虫剤を絶やさず使用することが必要である。 梅雨明けの土用に、梅雨で湿気を受けた衣類を干して、湿気を取り衣類の手入れを行うことを、虫干しという。土用干しともいう。しかし、この時期は湿度の高い時期なので、空気の乾いた秋の方がむしろ適当である。 虫干しでは、カビやシミの手入れはもちろんのこと、虫が飛来して産卵するのは大体5、6、7、8月で、このころには害虫は幼虫となって盛んに衣類を食害する時期でもあるので、虫の発見にも注意する。容器も、よくゴミを払って陰干しにする。 ・シミの原因をティッシュペーパー等でつまみ取るか吸い取り、広げないようにする。 ・乾いたタオルをシミの下に敷き、裏から水などで濡らし固く絞った布等で軽くたたき出し、 乾いたタオルに汚れを移す(決して、擦ってはいけない)。このとき収縮や脱色に注意する。 ・洗剤を使用する場合は中性洗剤を使い、洗剤は後で水などで十分に除去する。 ・輪ジミを残さないよう周囲をぼかすか、霧を吹いておく。 なお、具体的なシミの種類別のシミ落しの方法は次のとおりであるが、油分の多いシミや色素の強いシミは専門家に相談する方が無難である。 |